吉田『ルベーグ積分入門』問1.1.9(i)

・\(\bigcup_{X\in\mathcal{H}}X\)のことを単に\(\bigcup\mathcal{H}\)と書くのと同様に、直和についても\(\sum_{X\in\mathcal{H}}X\)のことを単に\(\sum\mathcal{H}\)と書くことにする。
空集合はゼロ個の集合の和集合と考え、「\(\mathcal{G}\cup\{\varnothing\}\)の要素の(可算)和」を「\(\mathcal{G}\)の要素の(可算)和」で済ます。

\(\mathcal{A}\)の要素の可算個の族\(\{A_n\}_{n\in\mathbb{N}}\)を任意にとる。\(\mathcal{G}\)が\(S\)の分割であることから、各\(A_n\)は\(\mathcal{H}_n\subseteq\mathcal{G}\)を用いて\(A_n=\sum\mathcal{H}_n\)と表され、\(S\backslash A_n=\sum(\mathcal{G}\backslash\mathcal{H}_n)\)である。ただし\(n\)ごとに\(\mathcal{H}_n\)と\(\mathcal{G}\backslash\mathcal{H}_n\)の少なくとも一方は可算である。また\(\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n\)およびその補集合は\[\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}\sum\mathcal{H}_n=\sum\bigcup_{n\in\mathbb{N}}\mathcal{H}_n\]\[S\backslash\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n=\bigcap_{n\in\mathbb{N}}(S\backslash A_n)=\bigcap_{n\in\mathbb{N}}\sum(\mathcal{G}\backslash\mathcal{H}_n)=\sum\bigcap_{n\in\mathbb{N}}(\mathcal{G}\backslash\mathcal{H}_n)\]と書ける。

(ア)\(\mathcal{H}_n\)がすべて可算であるとき、\(\bigcup_{n\in\mathbb{N}}\mathcal{H}_n\)も可算である。
(イ)\(\mathcal{H}_n\)に可算でないものがあるとき、そのひとつを\(\mathcal{H}_i\)とすると、\(\mathcal{G}\backslash\mathcal{H}_i\)が可算となるから、その部分集合である\(\bigcap_{n\in\mathbb{N}}(\mathcal{G}\backslash\mathcal{H}_n)\)も可算となる。
(ア)のときは\(\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n\)自身が、(イ)のときはその補集合が\(\mathcal{G}\)の要素の可算和で表されることが示されたので、いずれにせよ\(\bigcup_{n\in\mathbb{N}}A_n\in\mathcal{A}\)となる。

cupとbigcup

\[\cup\mathcal{A}\]と\[\bigcup_{X\in \mathcal{A}}X\]が同じ意味なんだよな。てことは\(\cup\mathcal{A}\)のことを\bigcupで\(\bigcup\mathcal{A}\)とは書かないほうがいいのか。
で、\[\mathcal{A}=\bigcup_{X\in\mathcal{A}}\{X\}\]なんだよな。それはどうでもいいが。

もうちょっと考えると、添え字集合を\(\Lambda\)とした集合族\(\lambda\in\Lambda\mapsto A_\lambda\)について、その値域\(\{A_\lambda\mid\lambda\in\Lambda\}\)のことを\(\{A_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)と書いたりする。ということは\[\cup\{A_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_\lambda\]なわけだ。別に左辺も\bigcupで\[\bigcup\{A_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_\lambda\]と書いてもいい気がしてきたな。\(\lambda\in\Lambda\)を書く場所が移動するだけでなく、括弧がひとつ消えるところがややこしい。

追記:あー、\(\{A_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)は値域じゃなく写像そのものを表すのかもしれない。明らかに値域を表す\(\{A_\lambda\mid\lambda\in\Lambda\}\)で書くと\[\bigcup\{A_\lambda\mid\lambda\in\Lambda\}=\bigcup_{\lambda\in\Lambda}A_\lambda\]となる。

吉田伸生『ルベーグ積分入門』p8脚注4、つづき

\(\underline{s}_n(f)\leq\underline{s}_{n+1}(f)\)の部分の証明。

\[\Lambda=\bigsqcup_{K_n} I_{n,k}\]である。ただし\(K_n\)は\( (-l/2)2^n\leq k_j < (l/2)2^n\)を満たす\((2^nl)^d\)個の\((k_j)_{j=1}^d\in\mathbb{Z}^d\)の集合であり、\(k\)は\(K_n\)の全要素をわたる。さらに\[I_{n,k}=\bigsqcup_{H_k} I_{n+1,h}\]である。ただし\(H_k\)は\(h_j=2k_jまたは2k_j+1\)を満たす\(2^d\)個の\( (h_j)_{j=1}^d\in\mathbb{Z}^d\)の集合であり、\(h\)は\(H_k\)の全要素をわたる。これらをまとめると\[\Lambda=\bigsqcup_{K_n} I_{n,k}=\bigsqcup_{K_n}\bigsqcup_{H_k} I_{n+1,h}=\bigsqcup_{K_{n+1}} I_{n+1,k}\]となる。\(h\in H_k\)のとき\(I_{n,k}\supseteq I_{n+1,h}\)から\[\underline{f}_{n,k}\leq\underline{f}_{n+1,h}\]が成り立つ。\(h\)を\(H_k\)の全要素にわたらせて不等式を合計し、さらに\(k\)を\(K_n\)の全要素にわたらせて合計した\[\sum_{K_n}\sum_{H_k}\underline{f}_{n,k}\leq\sum_{K_n}\sum_{H_k}\underline{f}_{n+1,h}\]の両辺をそれぞれ書き直すことにより\[\sum_{K_n}2^d\underline{f}_{n,k}\leq\sum_{K_{n+1}}\underline{f}_{n+1,k}\]を得る。両辺を\(2^{(n+1)d}\)で割ると\[\underline{s}_n(f)\leq\underline{s}_{n+1}(f)\]が導かれる。

吉田伸生『ルベーグ積分入門』p8脚注4

吉田伸生『ルベーグ積分入門』 (遊星社)p8脚注4から本文の不等式を導いてみた。

定義域\(\mathbb{R}^d\)の全体にわたって\[-M\cdot1_\Lambda\leq f\leq M\cdot1_\Lambda\]が成り立っている(\(\Lambda\)外では\(0\leq0\leq0\))から、任意の\(I_{n,k}\)について\[-M\cdot\underline{1_\Lambda}_{n,k}\leq\underline{f}_{n,k},\quad\overline{f}_{n,k}\leq M\cdot\overline{1_\Lambda}_{n,k}\]であり、したがって\[-M\cdot\underline{s}_n(1_\Lambda)\leq\underline{s}_n(f),\quad\overline{s}_n(f)\leq M\cdot\overline{s}_n(1_\Lambda)\]となる。\(I_{n,k}\)は\(\Lambda\)に「包含される」/「交わらない」のいずれかであり、前者の\(k\)は\( (l/2^{-n})^d\)個あって\(\underline{1_\Lambda}_{n,k}=\overline{1_\Lambda}_{n,k}=1\)、いっぽう後者では\(\underline{1_\Lambda}_{n,k}=\overline{1_\Lambda}_{n,k}=0\)となる。以上により\(\underline{s}_n(1_\Lambda)=\overline{s}_n(1_\Lambda)=l^d\)だから、これを上の不等式に反映させると\[-Ml^d\leq\underline{s}_n(f),\quad\overline{s}_n(f)\leq Ml^d\]を得る。

20190217集合論ゼミの補足

(内輪向けのメモです。)

選択公理ステートメントの流儀(1)「非交叉族・選択集合」流と(2)「族・選択関数」流とが同値であることを示す。

●(2)→(1)の証明:
空集合を持たず、どの2要素(集合)も交わらない族\(\mathcal{F}\)を任意にとり、その選択関数のひとつを\(g\)とする。\(g\)の値域\[g[\mathcal{F}]=\{g(X)\mid X\in\mathcal{F}\}\]が\(\mathcal{F}\)の選択集合となっていることを示すため、任意の\(X\in\mathcal{F}\)をとり、\(g(X)\)が\(g[\mathcal{F}]\cap X\)の唯一の要素であることを導く。
\(g[\mathcal{F}]\)の定義から\(g(X)\in g[\mathcal{F}]\)、いっぽう\(g\)が\(\mathcal{F}\)の選択関数であることから\(g(X)\in X\)、したがって\(g(X)\in g[\mathcal{F}]\cap X\)である。
一意性をいうために\(y\in g[\mathcal{F}]\cap X\)と仮定し、\(y=g(X)\)を導く。
\(y\in g[\mathcal{F}]\)により、\(y\)は何らかの\(Z\in\mathcal{F}\)を用いて\(g(Z)\)と書くことができる。すると\(g(Z)\in X\)であり、また\(g\)が\(\mathcal{F}\)の選択関数であることから\(g(Z)\in Z\)である。すなわち\(Z\)と\(X\)は\(g(Z)\)を共有するが、\(\mathcal{F}\)は交わる集合を有さないから\(Z=X\)、したがって\(g(Z)=g(X)\)である。

●(1)→(2)の証明:
補題】\(C\)が集合族\(\mathcal{G}\)の選択集合であるとき、\(C\cap\bigcup\mathcal{G}\)もまた\(\mathcal{G}\)の選択集合である。
(証明)任意の\(X\in\mathcal{G}\)に対し\(X\subseteq\bigcup\mathcal{G}\)であるから、\(X\)と\(C\)が一点で交わるなら\(X\)と\(C\cap\bigcup\mathcal{G}\)も同じ一点で交わる。■
(注)「\(\bigcup\mathcal{G}\)に属さない要素を持つかどうか」は「\(\mathcal{G}\)の選択集合かどうか」に影響しない。余計なものがいくら混じっていても選択集合であることに変わりはないが、多くの人は「選択集合」と言えば\(C\cap\bigcup\mathcal{G}\)のような「余計なものが混じっていない選択集合」を想像するであろう。

(証明)空集合を持たない任意の族\(\mathcal{F}\)をとり、\[\mathcal{F}^*=\{\{X\}\times X\mid X\in\mathcal{F}\}\]とおく。\(\mathcal{F}^*\)は空集合を持たず、どの2要素も交わらないので、選択集合が存在する。そのひとつをとって\(\bigcup\mathcal{F}^*\)との共通部分を\(C\)とすると、補題により\(C\)も\(\mathcal{F}^*\)の選択集合である。この\(C\)が\(\mathcal{F}\)の選択関数となっていることを示す。まず\(C\subseteq\bigcup\mathcal{F}^*=\{(X,x)\mid x\in X\in\mathcal{F}\}\subseteq\mathcal{F}\times\bigcup\mathcal{F}\)だから、\(C\)は\(\mathcal{F},\bigcup\mathcal{F}\)上の二項関係である。任意の\(X\in\mathcal{F}\)をとると、\(C\subseteq\bigcup\mathcal{F}^*\)により\[C\cap(\{X\}\times\bigcup\mathcal{F})=C\cap(\{X\}\times X)\]が成り立ち、\(C\)が\(\mathcal{F}^*\)の選択集合であることから右辺は一点集合ゆえ左辺も一点となる。以上により\(C\)は\(\mathcal{F}\)から\(\bigcup\mathcal{F}\)への関数となっており、しかも各\(X\in\mathcal{F}\)を\(X\)の要素にうつすから、\(\mathcal{F}\)の選択関数である。■

●証明を理解するために、有限集合の例で考えると:
\(P=\{a,b,c\},Q=\{c,d\}\)とし、\(\mathcal{F}=\{P,Q\}=\{\{a,b,c\},\{c,d\}\}\)とする。\[\mathcal{F}^*=\{\{P\}\times P,\{Q\}\times Q\}=\{\{P\}\times\{a,b,c\},\{Q\}\times\{c,d\}\}\]\[=\{\{(P,a),(P,b),(P,c)\},\{(Q,c),(Q,d)\}\}\]\(\{P\}\times P\)と\(\{Q\}\times Q\)とは交わっていない。\[\bigcup\mathcal{F}=\{a,b,c,d\},\]\[\bigcup\mathcal{F}^*=\{(P,a),(P,b),(P,c),(Q,c),(Q,d)\}\]であることにも注意する。\(\mathcal{F}^*\)の選択集合、すなわち\(\{P\}\times P\)と一点で交わり、しかも\(\{Q\}\times Q\)とも一点で交わるものとしては、例えば\[\{(P,b),(Q,c)\}\]がある。この集合は余計なものを入れていないので\(\bigcup\mathcal{F}^*\)に包含されている。「関数の集合論的実装」という観点で見ると、この集合は\(\mathcal{F}\)から\(\bigcup\mathcal{F}\)への関数\(g\)で、\[P\mapsto b,\]\[Q\mapsto c\]という対応のものに相当する。\(g(P)=b\in P,g(Q)=c\in Q\)であるから、\(g\)は\(\mathcal{F}\)の選択関数となっている。

チコノフの定理

内田伏一『集合と位相』p117〜p118を参考に、チコノフの定理の証明を整理した。

【定理】(チコノフの定理)位相空間系\( ( (X_\lambda,\mathscr{O}_\lambda)\mid\lambda\in\Lambda)\)の積空間を\( (Y,\mathscr{O})\)とする。すべての因子空間\( (X_\lambda,\mathscr{O}_\lambda)\)がコンパクト空間であれば、\( (Y,\mathscr{O})\)もコンパクト空間である。

【証明】\( (Y,\mathscr{O})\)における有限交叉性を持つ任意の集合族\(\mathfrak{A}\)をとり、\(\mathfrak{A}\)の全要素に共通する触点が存在することを示せばよい(特に\(\mathfrak{A}\)が閉集合族のとき、この「共通の触点」は共有元となる)。\(Y\)の部分集合族で有限交叉性を持ち\(\mathfrak{A}\)を包含するもの全体の集合を考えると、これは包含関係による半順序に関して帰納的であるから、ツォルンの補題により極大元\(\mathfrak{M}\)がとれる。各\(\lambda\in\Lambda\)に対し、\(Y\)から\(X_\lambda\)への標準的射影を\(p_\lambda\)として\[\mathfrak{M}_\lambda=\{(p_\lambda[F])^a\mid F\in\mathfrak{M}\}\]とおく。\(\mathfrak{M}_\lambda\)の有限個の要素\((p_\lambda[F_i])^a\)(ただし\(i=1,2,\ldots,k\)に対し\(F_i\in\mathfrak{M}\))について、\(\mathfrak{M}\)の有限交叉性から\(\bigcap_{i=1}^kF_i\neq\varnothing\)であることに注意すると\(\bigcap_{i=1}^k(p_\lambda[F_i])^a\supseteq\bigcap_{i=1}^k p_\lambda[F_i]\supseteq p_\lambda[\bigcap_{i=1}^k F_i]\neq\varnothing\)が成り立つ。したがって\(\mathfrak{M}_\lambda\)も有限交叉性を持つから、\(X_\lambda\)のコンパクト性により\(\bigcap\mathfrak{M}_\lambda\neq\varnothing\)、そこで選択公理のもと\(\lambda\in\Lambda\)にわたって\(y_\lambda\in\bigcap\mathfrak{M}_\lambda\)を選ぶことができる。\(y_\lambda\)を各\(\lambda\)成分にもつ\(Y\)の点を\(y\)とすると、実はこれが\(\mathfrak{M}(\supseteq\mathfrak{A})\)の全要素の触点となっている。このことを示すために、\(y\)の属す任意の開基\(\bigcap_{i=1}^n p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\)(ただし各\(U_i\in\mathscr{O}_{\lambda_i}\))をとり、これが\(\mathfrak{M}\)の任意の要素と交わることを導く。

\(i\in\{1,2,\ldots,n\}\)を任意に固定し、任意の\(F\in\mathfrak{M}\)をとる。\(y\in p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\)より\(y_{\lambda_i}=p_{\lambda_i}(y)\in U_i\in\mathscr{O}_{\lambda_i}\)、いっぽう\(y_{\lambda_i}\in\bigcap\mathfrak{M}_{\lambda_i}\subseteq (p_{\lambda_i}[F])^a\)である。したがって\(p_{\lambda_i}[F]\)は自身の触点の近傍である\(U_i\)と交わる。つまり\(F\)の要素で\(p_{\lambda_i}\)によって\(U_i\)の要素にうつるものがあるが、これは「\(p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\)と\(F\)が交わる」と言い換えることもできる。以上により、\(p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\)は\(\mathfrak{M}\)の任意の要素と交わる。これと\(\mathfrak{M}\)の極大性から、以下のように\(p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\in\mathfrak{M}\)が導かれる。

\(\mathfrak{M}\cup\{p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\}\)の有限交叉は\(\mathfrak{M}\)の有限交叉\(G\)を用いて\(G\)あるいは\(G\cap p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\)と書かれる。\(\mathfrak{M}\cup\{G\}\)の有限交叉は\(\mathfrak{M}\)の有限交叉で書かれるので\(\mathfrak{M}\cup\{G\}\)は有限交叉性を持ち、\(\mathfrak{M}\)の極大性から\(G\in\mathfrak{M}\)、したがって\(G\cap p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\neq\varnothing\)となるので\(\mathfrak{M}\cup\{p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\}\)も有限交叉性を持つ。すると再び\(\mathfrak{M}\)の極大性により\(p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\in\mathfrak{M}\)である。

\(p_{\lambda_1}^{-1}[U_1],p_{\lambda_2}^{-1}[U_2],\ldots,p_{\lambda_n}^{-1}[U_n]\)がすべて\(\mathfrak{M}\)に属すことと\(\mathfrak{M}\)の有限交叉性から、\(\bigcap_{i=1}^n p_{\lambda_i}^{-1}[U_i]\)は\(\mathfrak{M}\)の任意の要素と交わる。■

「Rの有界閉集合はコンパクトである」ことを、閉集合の交叉性の流儀によるコンパクト性の定義を用いて証明する

\(\mathbb{R}\)の有界閉集合はコンパクトであることを、閉集合の交叉性の流儀によるコンパクト性の定義を用いて証明する。

(証明)\(A\)を\(\mathbb{R}\)の有界閉集合とする。部分空間\(A\)における閉集合の族\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)が有限交叉性を持つと仮定し、\(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}F_\lambda\neq\varnothing\)を導く。

\(A=\varnothing\)のときは仮定が偽となるので\(A\neq\varnothing\)としてよい。さらに\(\Lambda=\varnothing\)のときは\(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}F_\lambda=A\neq\varnothing\)となるので、\(\Lambda\neq\varnothing\)としてよい。

\(A\)における閉集合は\(\mathbb{R}\)の閉集合と\(A\)との交叉で表されるので、やはり\(\mathbb{R}\)の有界閉集合である。したがってそれらの交叉も\(\mathbb{R}\)において有界閉であり、空でなければ最大元を持つ。

\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)のすべての有限交叉(仮定によりどれも非空である)について、各々の最大元をとって集めた集合を\(M\)とする。また任意の\(\mu\in\Lambda\)をとって固定し、\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)の有限交叉のうち\(F_\mu\)が参加しているものについて、各々の最大元をとって集めた集合を\(M_\mu\)とする。

\(\varnothing\neq M_\mu\subseteq M\subseteq A\)であり、\(A\)は下に有界だから、\(M_\mu,M\)はともに下に有界な非空集合である。したがって両者は下限を持ち、互いの包含関係から\(\inf M\leq\inf M_\mu\)である。いっぽう\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)の任意の有限交叉\(G\)に対し、\(F_\mu\cap G\)は「\(F_\mu\)の参加する有限交叉」であるから\(\inf M_\mu\leq\max(F_\mu\cap G)\leq\max G\)、したがって\(\inf M_\mu\)は\(M\)の下界だから\(\inf M_\mu\leq\inf M\)である。以上により\(\inf M=\inf M_\mu\)である。

ところで\(M_\mu\)はその構成により\(\mathbb{R}\)の閉集合\(F_\mu\)に包含されるから\(\inf M_\mu\in M_\mu^a\subseteq F_\mu^a=F_\mu\)が成り立つ(ただし\( (\cdot)^a\)は\(\mathbb{R}\)における閉包を表す)。

結局、\(\inf M_\mu\)は各々\(F_\mu\)に属しつつも\(\mu\)に関わらず\(\inf M\)に等しいので、\(\inf M\in\bigcap_{\lambda\in\Lambda}F_\lambda\neq\varnothing\)を得る。■