2項関係の除算と表現行列

$R:A\leftarrow B, S:A\leftarrow C$に対して、$X:B\leftarrow C$についての条件\[R\circ X\subseteq S\tag{*}\]を考える。表現行列で言えば$RX\leq S$である。ここで$\leq$は「対応する各要素(ブール値)がいずれも$\leq$」と定義される半順序である。$R,S…

2項関係の除算

$A,B,C$は集合、$S,R$はそれぞれ$B\times C,A\times C$上の2項関係とする。$A\times B$上の任意の2項関係$X$について\[X\circ S\subseteq R\Leftrightarrow\forall a\in A,c\in C[_aX\circ S_c\rightarrow{}_{a}R_c]\]\[\Leftrightarrow\forall a\in A,c\in …

エンダートン『論理学への数学的手引き』演習問題1.2.10

【補題】整式の集合$\Sigma_1,\Sigma_2$について、(A)「$\Sigma_1\vDash\sigma$ならば$\Sigma_2\vDash\sigma$」と(B)「$\Sigma_1\ni\sigma$ならば$\Sigma_2\vDash\sigma$」とは同値である。(証明)$\Sigma_1\vDash\sigma$は$\Sigma_1\ni\sigma$よりも弱い仮…

20230531輪講の復習用問題

●写像$f:X\to Y$と$A\subseteq X, B\subseteq Y$について、$A$の$f$による像$f[A]$の定義は\[\{f(x)\in Y\mid x\in A\}\]あるいは\[\{y\in Y\mid\exists x\in A[y=f(x)]\}\]です。$B$の$f$による原像$f^{-1}[B]$の定義を答えてください。●写像$f:\mathbb{R}\…

20230510輪講の予習用チェックポイント

【問題】実数$x,y$が$2x+y^2=4$を満たしながら動くとき、$x^2+y^2$のとりうる値の範囲を求めよ。$2x+y^2=4$を満たす実数$x,y$の具体例をいくつか挙げてください。それぞれに対して、$x^2+y^2$の値は何になりますか。$k=-1,0,1,2,3,4$に対して、それぞれ$x^2+…

20230426輪講のノート

『論理学で学ぶ数学』p61、Theme 4の別解。$(ax+b)(ax+c)

Suc-帰納法と累積帰納法

Suc-帰納法:\[(P(0)\wedge \forall k[P(k)\rightarrow P(k+1)])\rightarrow\forall n[P(n)]\tag{1}\] 累積帰納法:\[\forall n[\forall m(1)⇒(2):図式(1)のもと、$\forall n[\forall m(2)⇒(1):図式(2)のもと、(ア)$P(0)$および(イ)$\forall k[P(k)\righta…

逆説的集合

砂田利一『バナッハ・タルスキーのパラドックス』付録の補題6の証明が理解できなかったので書き直してみた。【補題】群$G$の作用する空間$X$において、$X$の部分集合$E$が、どのふたつも互いに素な$E$の部分集合$A_1,\ldots,A_m, B_1,\ldots,B_n$によって$E=…

20220824輪講のノート

●連立方程式の同値変形についてテキストp56の方程式③($a=3x+5$)が表す直線を、教科書の図に描き込んでみてください。●円の方程式について$xy$平面において、中心$(3,-2)$半径$5$の円を$C$とします。すると、$xy$平面上のすべての点は円$C$の「内部にある/…

20220727輪講のノート

●Theme3について:p57の(i),(ii)は、「(i)ならば(ii)」の関係がある(なぜか?)ので、実は(i)さえ考えれば(ii)は必要ありません。実際、p60の最後の数直線では(i)の範囲が(ii)の範囲に完全に含まれています。●この問題の同値変形のポイントはp57の5°(I)の\[…

20220713輪講のノート

●p49、Theme 1について:$k$の値に応じて$k$と$6k$との大小関係がどうなるか、これは$y=k$および$y=6k$のグラフを描けば一目瞭然です。●p46、IV[A](2)$\exists x\in\mathbb{R}[a ($\Rightarrow$):$a ($\Leftarrow$):今度は存在を示すことがゴールです…

20220622輪講のノート

『ろんりの相談室』問題13.5(1)$左辺\subseteq 右辺$を示すため、$x\in A\cap\bigcup\mathcal{B}$を任意にとり、$x\in\bigcup\{A\cap B\mid B\in\mathcal{B}\}$を導く。$x\in\bigcup\mathcal{B}$から、$x\in B_0$なる$B_0\in\mathcal{B}$がとれる。これと$x\…

20220601輪講のノート

●次の数列$a_n$($n=1,2,3,\cdots$)\[n\mapsto\left\{\begin{array}{ll}1&(n=1,10,100,\ldotsのとき)\\1/n&(それ以外のとき)\end{array}\right.\]は$0$に収束しない(つまり、$n$を限りなく大きくしても$0$には限りなく近づかない)ことを$\epsilon N$論法…

|N|=|Q|

$0$でない有理数$q$は既約分数$m_q/n_q$(ただし$m_q$は$0$以外の整数、$n_q$は正の整数)という形で一意に表すことができ、$q$の正負と$m_q$の正負は一致する。$g:\mathbb{Q}\to\mathbb{N}$を次のように定義する。\[g(q)=\left\{\begin{array}{ll}2^{m_q}\c…

鈴木『ろんりの相談室』例題13.2.2

鈴木登志雄『ろんりの相談室』例題13.2.2。【問題】$\mathbb{N}$(自然数全体)の部分集合$X$を\[\mathbb{N}\ni n\mapsto \left\{\begin{array}{c} 1\quad(n\in X)\\0\quad(n\notin X)\end{array}\right.\in\{0,1\}\]なる数列にうつす写像$f:2^\mathbb{N}\to…

ベクトルの線形結合を表すツールとしての行列

4本のベクトル$\boldsymbol{u}_1,\boldsymbol{u}_2,\boldsymbol{u}_3,\boldsymbol{u}_4$を基本として、これらの線形結合を簡潔に書き表す方法を考えよう。説明の都合上、スカラーは後置形式で書くこととする。例えば係数の組$(s_1,s_2,s_3,s_4)$と$(t_1,t_2,…

吉田『ルベーグ積分入門』補題1.2.4

吉田伸生『ルベーグ積分入門』補題1.2.4の証明を、一般的な事柄を切り出して書き直してみた。(1)$T$上の集合族$\mathscr{P,Q}$と$S\subseteq T$について\[\mathscr{P}\!\upharpoonright_S\subseteq\mathscr{Q}\]\[\Leftrightarrow\forall B\in\mathscr{P}[B\…

吉田『ルベーグ積分入門』例2.1.3

吉田伸生『ルベーグ積分入門』例2.1.3の証明を、$\sigma$加法族や可測写像と無関係な部分を切り分けて書き直してみた。一般に$f:S\to\mathbb{C}$に対し\[f=\sum_{\alpha\in f(S)}\alpha\cdot1_{f^{-1}(\{\alpha\})}\]であり\[\mathscr{G}=\{f^{-1}(\{\alpha\…

R∪{-∞,+∞}上の全順序

$\mathbb{R}$上の通常の順序関係を$\leq$で表し、$\mathbb{R}\cup\{-\infty,+\infty\}$上の二項関係$x\preceq y$を\[x=-\infty\vee x\leq y\vee y=+\infty\]と定義する。この関係$\preceq$が全順序をなすことを示す。推移性:$a\preceq b$および$b\preceq c$…

メダカカレッジ自主ゼミ(オンライン)の詳細

日時:2021年12月1日からの毎週水曜日、午前10:00~11:30場所:Zoomによるオンライン開催テキスト:縫田光司『耐量子計算機暗号』(森北出版、2020年) www.morikita.co.jp www.amazon.co.jp形式:私(梵天ゆとり)が発表し、参加希望者に聴いていただき、適…

絹田村子『数字であそぼ。』6巻、服薬管理法の問題

絹田村子『数字であそぼ。』第6巻、服薬管理法の問題の解説。前提: (1)おじいちゃんは1日1種類、1錠だけの薬を飲んでおり、内服時刻に制約はない。とにかく同じ日に1錠飲めばよい。 (2) おじいちゃんは「今日、もう薬を飲んだか、まだ飲んでいないか」を忘…

雪江『代数学1群論入門』補題3.1.2

雪江明彦『代数学1群論入門』補題3.1.2、$U^3+V^3$の計算で$(3\alpha_1+a_1)(3\alpha_2+a_1)(3\alpha_3+a_1)$を得てからは、素朴に$a_1$についての3次式と見て展開してもよい。\[(a_1+3\alpha_1)(a_1+3\alpha_2)(a_1+3\alpha_3)\]\[=a_1^3+3(\alpha_1+\alpha…

ノルム環と*環

多元環(algebra)に劣乗法的なノルムが入ったものを「ノルム環」、多元環に対合の要請を満たす1変数演算$(\cdot)^*$が入ったものを「$^*$環」と呼ぶ。ノルム環でしかも$^*$環であるものに対し、次の2つの条件を考える: (任意の元$a$に対し)(i)$\|a\|=\|a…

雪江『代数学1群論入門』命題1.1.6

雪江明彦『代数学1群論入門』命題1.1.6の証明を書き直してみた。$P$から$Q$への単射が存在することを$P\preceq Q$と書き、$P\preceq Q\preceq P$が成り立つことを「$P,Q$の濃度が等しい」という。自然数$n$とは「$n$未満の自然数全体」のこととし、「集合$C$…

20210714『数理論理学』輪講のノート

●補題10.57について ――もともと私たちが持っている代入記法は、複数の変数に「同時に」代入するという機能を持ち合わせていません。例えば項\(o(x,y)\)の\(x,y\)にそれぞれ\(o_1(x, y),o_2(x,y)\)を代入して\(o(o_1(x,y),o_2(x,y))\)という2変数関数を作ろう…

『チャート式 大学教養 微分積分』ノート(随時更新)

●公式の正誤表(初版用)はこちら:https://www.chart.co.jp/goods/item/contents/41750.html ――この記事では初版に対して記述するが、公式正誤表にある誤りについては言及しない。ただし、最新の版では正誤表にない修正も加えられているので、その箇所は言…

20210414『数理論理学』輪講のノート

問題7.39等について:一般に\(\chi_1\)と\(\chi_2\)の証明が書ければ、両者の後に(CI)を適用することで\(\chi_1\wedge\chi_2\)の証明が得られます。したがって\(\varphi\leftrightarrow\psi\)の証明を書くには\(\varphi\rightarrow\psi\)および\(\psi\righta…

戸次『数理論理学』練習問題7.35

証明の都合上、(GEN')のステートメントの\(\xi\)と\(\zeta\)を入れ替えておき、\(\varphi\)は\(\psi\)に直す。また両命題の固有変数条件の表記を揃えた。 (GEN)\(\fbox{$\varphi[\zeta/\xi]\Rightarrow\forall\xi\varphi$}\)、ただし\(\varphi[\zeta/\xi]\)…

20210317『数理論理学』輪講のノート

問題解答例:練習問題7.35のヒント:(GEN)と(GEN')の一方から他方を相互に導く際に記号がぶつかると混乱をきたしやすいので、(GEN')のほうの記号を書き換えておきます。 (GEN')\(\quad\psi\quad\Longrightarrow\quad\forall\beta(\psi[\beta/\mu])\) ただし\…

20210310『数理論理学』輪講のノート

【課題】 ・定義7.2の公理(S)(K)は、これまで考えてきたような意味論上でも恒真式であることを確認してください。また、直感的に「当然成り立つ」と思えるような説明を考えてください。定義7.11の各定理についても、同様のことを試みてください。・ヒルベル…