20181118集合と位相ゼミの補足

●命題2.13.4(連続性の言い換え)の証明は、下記のように、もとの定義(1)を、(2)を経由して(3)に書き換える、と考えると見通しがよくなります。ただし、\(X\triangleright x\)は「\(X\)は\(x\)の近傍である」(\(X\in\mathcal{U}(x)\))を意味します。(1)\(\…

コンパクト集合と閉集合の交叉性と集合間距離

【問題】距離空間における部分集合\(K,L\)が、次の条件を満たしている。 ・\(K\)はコンパクトである。 ・\(d(K,L)=0\)である。 このとき、\(d(k,L)=0\)となるような\(k\in K\)が存在することを示せ。(証明)\(d(K,L)=0\)から、任意の\(\epsilon > 0\)に対し…

ベシコヴィッチ・モンスターの構成

新井仁之『ルベーグ積分講義』(日本評論社)p190~p192の議論を書き直したもの。\(\triangle{\rm ABC}=T\)に対して、操作(I)を施すことにより重なりの生じる部分(五角形\({\rm PQM'MR}\))を\(\Omega(T)\)とし、その面積を求める。\(\triangle{\rm QAM'}\)…

20181003セミナーのノート

(※内輪向けのメモ書きです。) 1. \(\Delta_0\)論理式の概念について \(\Delta_0\)論理式自体は文字列としての論理式の「見た目」に依存する概念であって、互いに同値な論理式の一方が\(\Delta_0\)だが他方は\(\Delta_0\)でない、ということは珍しくありま…

高崎金久『学んでみよう!記号論理』ノート

高崎金久『学んでみよう!記号論理』(日本評論社)の正誤表 学んでみよう!記号論理 に未収録の誤りや補足など。●p49、図1の(5) ――規則(f)を適用して直接得られるのは¬¬aと¬¬c。厳密にはこれに(h)を適用して初めてaとcを得るが、省略されている。p192の…

鹿島『数理論理学』解答5.3後半

注意:以下において「論理式\(\psi\)の自由変数\(x\)に項\(t\)を代入する」とは、「\(\psi\)が\(x\)を自由変数として持つならば\(t\)を代入し、持たないならば何もしない」という意味であるとする。閉論理式\(\varphi\)に登場するもの以外の変数を持たない、…

キューネン基礎論定理II.7.15(1)(2)の同値性(コンパクト性定理)

\(\Sigma,\Theta\)を語彙\(\mathcal{L}\)の文の集合とする。次の(1)が任意の\(\Sigma\)で成り立つことと、(2)が任意の\(\Theta\)で成り立つことは同値。 (1)\(\Sigma\)のすべての有限部分集合がそれぞれモデルを持つとき、\(\Sigma\)もモデルを持つ。 (2)\(\…

原始的な帰納法のみでNにおける∈の無反射性を示す

\(\forall n\in\mathbb{N}[n\notin n]\)を、原始的な数学的帰納法のみを用いて示す。以下、\(n'\)は\({\rm Suc}(n)=n\cup\{n\}\)を意味する。 \(\beta(n):\forall k\in n'[k\notin k]\)と置くと、\(n\in n'\)により、各\(\beta(n)\)は\(n\notin n\)を含意す…

20180610集合と位相ゼミの補足(上限の定義について)

上限の定義に登場した、\[\forall y\in X[yはAの上界である\rightarrow a\leq y]\]と\[\forall x\in X[x ・「\(x\)は\(A\)の上界でない」は\(\exists b\in A[\neg b\leq x]\)だが、この\(\neg b\leq x\)を\(x ・\(a\leq x\)と\(x のは、「全順序で考えている…

20180527集合と位相ゼミの補足(ハミング距離)

命題\(P\)の真理値\(V(P)\)は\(1\)(真)あるいは\(0\)(偽)という値をとるものとする。すると\(P\rightarrow Q\)は\(V(P)\leq V(Q)\)と言い換えられる。また\(V(PとQの真偽が異なる)=|V(P)-V(Q)|\)である。\(V(a\neq b)\)のことを\(d(a,b)\)と書くことにす…

20180513集合と位相ゼミの補足

\(\mathcal{P}\)を集合\(X\)の分割とし、\(X\)上の二項関係\(x\sim y\)を\(\exists S\in\mathcal{P}[x\in S\wedge y\in S]\)と定義すると、\(\sim\)は同値関係である(証明略)。\(a\in X\)に対し同値類\(\{x\in X\mid x\sim a\}\)を\(C_a\)と略記する。【補…

20180506集合と位相ゼミの補足

\(f\)が単射とは限らないときの、\(f[\bigcap A_i]=\bigcap f[A_i]\)の反例。各\(A_i\)の、\(\bigcap A_i\)以外の点\(a_i\)たちから一斉に同じ点\(b\)に飛ぶ場合、像の共通部分をとっても\(b\)が「異物」として混入することがありうる。\(f\)を\(\mathbb{N}\…

20180429集合と位相ゼミの補足

(※内輪向けのメモです。)特性関数および「集合から特性関数への写像」が初めはイメージしにくいと思うので、解説を書いてみました。aさん、bさん、cさん、dさん、eさんという5人のグループがあって、とある勉強会に出席するかどうかを調査したところ、aさ…

20180422集合と位相ゼミの補足

(※内輪向けのメモです。) ・二項関係を初めて理解する際は、まずは最も素朴に二次元の表をイメージしておくのが良いと思います。 例えば\(X=\{グー,チョキ,パー\}\)として、関係\(aRb\)を「\(a\)が\(b\)に勝つ」とすると、その実体は\(R=\{(グー,チョキ),(…

20180414集合と位相ゼミの補足

(※内輪向けのメモです。) 発表者の証明を聞いて「ふんふん」と納得することと、実際に自分で証明を書いてみることの間には大きな壁があります。全部やるのは大変ですが、いくつかでも自分で書いてみることを勧めます。今日取り上げられていた、補題1.3.2の…

Nにおける∈の整礎性

\(N\)における∈の整礎性を、通常の帰納法で示す。\(N\)が順序をなす議論から独立して話を進めたいので、「\(\in\)極小元」といった語の代わりに、下のような語を用いる。 【定義】\(S\)が\(\neg\exists x\in S[x\in t]\)なる要素\(t\)を持つとき、\(t\)を\(S…

最小の帰納的集合は順序数である

【定義】対の公理と和集合の公理により、任意の集合\(s\)の各々に対して\(s\cup\{s\}\)なる集合が存在するので、これを\(s'\)と書く。すなわち\[r\in s'\Leftrightarrow (r\in s\vee r=s)\]が成り立つ。【定義】\(y\)が次の条件\(\varphi(y)\)を満たすことを…

各元を変えない元

集合\(S\)上に二項演算\(\cdot\)が入っている。以下\(x\cdot y\)を\(xy\)と略す。 \(x\in S\)に対し、\(xy=yx=x\)を満たす\(y\in S\)を「\(x\)を変えない元」と呼ぶことにする。ある元を変えない元は複数あるかもしれないし、存在しないかもしれない。また、…

開球の内点・外点・境界点

松坂和夫『集合・位相入門』p142~p143の「例」の証明を見通しよく書き直したもの。\(\mathbb{R}^n\)上の点\(a\)と正の実数\(\epsilon\)とに対し、\(a\)から距離が\(\epsilon\)未満の/に等しい/を超える点の集合をそれぞれ\(O_a^{\epsilon}\)と書くことに…

どうしても部分積分が苦手な人のために ~積分記号なしで積分する~

(前置き) \(f(x)\)の原始関数とは、\(f(x)=F'(x)\)を満たす\(F(x)\)のことである。例えば\[\cos x=(\sin x)'\]であるので、\(\sin x\)は\(\cos x\)の原始関数(のひとつ)である。つまり、与えられた関数を\( (\cdots)'\)の形に押し込めてしまえば、原始関…

線形代数ゼミ20171108の補足

(関係者向けのノートです。)●転倒数の定義の同等性の証明 \(\{1,2,\ldots,n\}=\{a_1,a_2,\ldots,a_n\}\)とする。任意の\(k=1,2,\ldots,n\)に対し、\(a_r=k\)を満たす\(r\)はただひとつ存在するから、これを\(c_k\)と書く。 \(\sigma\)をサイズ\(n\)の置換…

連続写像のさまざまな定義

発端はこのツイート。この(d)と(e)、双対だし自明に同値変形できるでしょと思ったができなかった(実はできるのか?) pic.twitter.com/6RWvOHijw9— 箱 (@o_ccah) 2017年10月7日位相空間\(X\)から位相空間\(Y\)への写像\(f\)について、次の2つはともに\(f\)…

二項関係を保つ/反映する写像

集合\(A,B\)が、それぞれ二項関係\(R,S\)を備えており、\(f\)を\(A\)から\(B\)への写像とする。 【定義】 任意の\(x,y\in A\)について\(xRy\rightarrow f(x)Sf(y)\)が成り立つとき、「\(f\)は関係を保つ(preserves)」あるいは「\(f\)は準同型写像である」と…

線形変換の冪の核に対して特徴的な基底

竹山美宏『ベクトル空間』16.2節に相当する議論。【補題0】\(U,V\)はベクトル空間、\(A,B\)は\(U\)の部分空間で\(A+B\)は直和であり、線形写像\(f:A\oplus B\to V\)は単射であるとする。このとき、\(f[A\oplus B]=f[A]\oplus f[B]\)が成り立つ。 (証明)\(f…

娘への手紙

「ある数を3倍しても、同じ数に10を足しても、結果は同じになりました。もとの数は何だったでしょう?」という問題を小学校1年生の娘に出した。娘は1から順に始めて「1×3=3、1+10=11だからダメ、2×3=6、2+10=12ダメ、……」と試してゆき、ほどなく5×3=5…

平方数でない自然数の平方根による、有理数の切断

デデキントによる議論を見通し良く。\(D\)を平方数でない自然数とし、\[A_1=\{x\in\mathbb{Q}\mid x\leq0\vee x^2 0\wedge x^2\geq D\}\]とする。\(A_1\)は最大元を持たず、\(A_2\)は最小元を持たないことを示す。\(x\in\mathbb{Q}\)に対し\(\bar{x}=x(x^2+3…

中間値の定理の証明・改

高木『解析概論』の中間値の定理の証明が理解しづらかったため、書き直した。同じ目的で 中間値の定理の証明 - y_bonten's blog を書いていたが、これも煩雑であったので改良した。【定理】(中間値の定理)\(a 区間\([a,b]\)において連続な関数\(F(x)\)につ…

キューネン数学基礎論p46、演習I.7.21

\(R\)が\(A\)を整列順序づけすることから\[\forall x,y,z\in A[xRy\wedge yRz\rightarrow xRz]\]\[\forall x,y\in A[x=y,xRy,yRxのうちちょうどひとつが成立する]\]\[\forall Y\subseteq A\exists y\in Y\neg\exists z\in Y[zRy]\]が成り立つ。\(X\subseteq …

キューネン数学基礎論p151、演習問題II.7.5

\(\mathfrak{A}\)を語彙\(\mathcal{L}\)に対する構造とし、その台集合を\(A\)とする。\(\mathcal{L}\)の項\(\tau\)に対し、「\(\tau\)に対する\(A\)への任意の割り当て\(\sigma',\sigma\)について、\(\sigma'\upharpoonright V(\tau)=\sigma\upharpoonright …

小数表示と実数

有理数の切断によって実数を構成したとする。任意の小数表示に対して、「それによって表される実数」が存在することを示す。一意性についての議論は省略する。以下、切断\( (A,B)\)の下組\(A\)(最大元を持たない)を指して「切断」という。有理数\(r\)に対…