20210224『数理論理学』輪講のノート

【定理】\(\varphi\)は量化子・演算子・\(x\)以外の変項を含まない論理式で、\(\mathcal{A}\)は\(\varphi\)をその上の論理式とする最小の言語であるとする。このとき\[\vDash\exists x\varphi\Longleftrightarrow\ \vDash\bigvee_{\tau\in H_\mathcal{A}}\va…

「外力」について

ここから始まるスレッドへのお返事。あと位置エネルギーの定義に「外力」という概念は使わない。系の運動量が保存する話のときも「内力・外力」(という実は定義がめんどくさい)概念も使わない。前者の外力と後者の外力はまた違う概念だし、混乱を招かない…

20210120『数理論理学』輪講のノート

いま扱っている範囲のモチベーションは、「述語論理における妥当な推論のパターンを追求する」ということです。現在のところ、私たちは「命題論理における妥当な推論は、そのまま述語論理にも当てはまる」という知識しか持ち合わせていません。しかし、5.72…

20210106『数理論理学』輪講のノート

●補題5.56\[g[\xi\mapsto a][\zeta\mapsto b]=g[\zeta\mapsto b][\xi\mapsto a]\](証明)左辺の写像を\(g_1\)、右辺の写像を\(g_2\)とし、任意の変項\(\eta\)に対し\(g_1(\eta)=g_2(\eta)\)となることを示す。\(\xi\not\equiv\zeta\)により、\(g_1(\xi)\)お…

20201218『数理論理学』輪講のノート

先生のおっしゃっていた方法\[S_0=\{Pの真偽表\begin{pmatrix}1\\1\\0\\0\end{pmatrix},Qの真偽表\begin{pmatrix}1\\0\\1\\0\end{pmatrix}\}\]\[S_{n+1}=\{\alpha\rightarrow\betaの真偽表\mid \alpha,\betaの真偽表\in S_n\}\] において、\(S_n\)は「\(P,Q\…

20201209『数理論理学』輪講のノート

●項と論理式の違いについて: 例えば「(2次式)=0」という形に整理できる方程式を「2次方程式」と呼んだと思いますが、「2次式」は項の例、「2次方程式」は論理式の例です。これらはどちらも\(x\)などで書かれる変項が含まれていますが、2次式(項)に現れる…

戸次大介『数理論理学』ノート(随時更新)

●版元による紹介はこちら: 数理論理学 - 東京大学出版会 Amazon等へのリンクもある。●公式の正誤表はこちら: Webpage: BEKKI Daisuke 「Books: 第2刷正誤表」で入手できるが、File Not Foundになったり文字化けを起こすようである。「リンク先を保存」など…

証明リファクタリングのすゝめ

私の趣味は数学の証明のリファクタリングである。教科書に書かれた数学の証明は、まずはそのまま、書かれた通りに理解すればよいのだが、自分で書き直すことによって「より深く理解できた」という満足感が得られることが多い。この作業を、プログラミングに…

20201202『数理論理学』輪講のノート

●練習問題3.103(5)について:もとの問題は\(\varphi,\psi\)を用いていますが、説明の都合で命題記号\(P,Q\)に置き換えます。\(P,Q,\rightarrow\)のみから構成されるいかなる論理式\(\chi\)も\(P\wedge Q\)と同値にならない、つまり\(\chi\)と\(P\wedge Q\)の…

20201125『数理論理学』輪講のノート

●練習問題3.103(4)の、よりシンプルな別解としては\[\varphi\leftrightarrow(\varphi\rightarrow\psi)\]があります。確認してみてください。 ●練習問題3.103(5)についてコメントしたことをもっと簡潔に再掲しておきます。\(\varphi,\psi\)を\(\rightarrow\)…

20201118『数理論理学』輪講のノート

選言標準形に比べて連言標準形は「分かりにくい」「ひと手間、多い」と感じたかもしれませんが、双対性の理解を深めると全く対等に感じられるようになります。「双対性」とは何かを理解するために、次のようなパズルを考えます。下の表において、「♪」は「か…

20201111『数理論理学』輪講のノート

「任意の解釈\(I\)について\([\![\varphi]\!]_I=[\![\psi]\!]_I\)」という関係を\(\varphi\equiv\psi\)、 「任意の解釈\(I\)について\([\![\varphi]\!]_I\leq[\![\psi]\!]_I\)」という関係を\(\varphi\preceq\psi\) と書くことにし、推論の妥当性や恒真式の…

20201104『数理論理学』輪講のノート

●問題3.27について 解釈とは「論理式全体から真偽値への写像」でしたから、「解釈\(I,I'\)が等しい」とは、「任意の論理式について\(I,I'\)における真偽値が(論理式ごとに、そのつど)一致する」という意味です。したがって、この問題で要求されているのは…

20201028『数理論理学』輪講のノート

●練習問題3.45の2つ目の恒真式\[\varphi\rightarrow\psi\leftrightarrow\neg\varphi\vee\psi\]において、\(\varphi\)として\(P\wedge\neg Q\)を、\(\psi\)として\(R\)を選ぶと、練習問題3.42の2つの論理式を\(\leftrightarrow\)で繋いだものに一致します。一…

20201021『数理論理学』輪講のノート

●以下の2つを比較して、いろいろ考えてください。 ・「奈良市内にいること」は「奈良県内にいること」を含意する。 ・奈良県は奈良市を包含している。●口頭発表の際は「\(\vee\)」を「逆三角記号」などと読むのは面倒なので「または」と読んでしまえばよいと…

20201014『数理論理学』輪講のノート

●反対称律は分かりにくいですが、対偶をとって理解する方法もあります。\(x\neq y\)ならば「『\(_xR_y\)かつ\(_yR_x\)』でない」あるいは\(x\neq y\)ならば「『\(_xR_y\)でない』または『\(_yR_x\)でない』」つまり異なる要素同士が双方向に関係を結ぶことを…

20201007『数理論理学』輪講のノート

戸次大介『数理論理学』輪講後のコメントです。※内輪向けです。記号は私の好みのものに置き換えています。●p5練習問題1.16 ――最後の例は煩雑に見えますが、理論的背景のある集合です。\(X_0=\varnothing\)から初めて\[X_1=X_0\cup\{X_0\},\]\[X_2=X_1\cup\{X…

(sin x)^nの積分を具体的に体験する

\(J_k(x)=-\cos x\sin^k x\)とおくと\[{J_k}'(x)=(k+1)\sin^{k+1}x-k\sin^{k-1}x\]が成り立つ。すると例えば\[\sin^7x=\frac{1}{7}({J_6}'(x)+6\sin^5x)=\cdots\]\[=\frac{1}{7}\left({J_6}'(x)+\frac{6}{5}\left({J_4}'(x)+\frac{4}{3}\left({J_2}'(x)+\fra…

タナカ『集合論』、全体集合と補集合について

田中康友『集合論』1.2.4全体集合について。(前提共有事項)本書では、 ・差集合\(P-Q\)は\(Q\subseteq P\)でなくとも定義されている。 ・全体集合\(X\)が想定されている場合に限り(したがって\(A\subseteq X\)の場合に限り)\(A^c=X-A\)と定義されている…

松坂『集合・位相入門』p105、第3章§2問題1

\(a\)は半順序集合\(A\)の元であり、\(A_{> a}=\{x\in A\mid a (1)\(b\)は\(a\)の直後の元である。 (2)\(b\)は\(A_{> a}\)の極小元である。 (証明)いずれも\(a

写像が全射との合成で表されるための条件

斎藤毅『線形代数の世界』「商空間」の章、最初の補題。\(X,Y,Z\)は集合、\(p:X\to Y\)は全射とする。写像\(f:X\to Z\)について、次は同値である。 (1)\(f=g\circ p\)なる写像\(g:Y\to Z\)が存在する。 (2)\(p(x_1)=p(x_2)\)を満たす任意の\(x_1, x_2\in X\)…

『龍孫江の数学日誌』関連ツイート

龍孫江の数学日誌 in YouTube - YouTubeを視聴して勉強したことをツイートしたもの。スレッドの最初のツイートのみにリンクを貼っています。元の動画が公開された順に並べています。龍さんの記念すべき1回目の動画に関するメモ。 突然だが1-(-6)^nを考えると…

完備性に関わらず、単調増加数列が「上限を持つ」ことと「収束する」こととは同値である

「数列\(a_n\)は\(\alpha\)に収束する」、すなわち\[\forall\epsilon > 0\exists N[\alpha-\epsilon \[\forall\epsilon > 0\exists N[\alpha-\epsilon 0\left[\exists N[\alpha-\epsilon 0\exists N[\alpha-\epsilon 0[a_{すべて}

『数研講座シリーズ 大学教養 微分積分』p41定理3-4の証明

……作り方から、次が分かる。 ・数列\(c_k\)は単調増加数列である。 ・\(c_k\leq a_{n_k}\leq d_k=c_k+(d-c)/2^k\)数列\(c_k\)は単調増加であり上界\(d\)を持つから(定理3-1により)収束し、その極限値\(\alpha\)は(定理2-6により)\([c,d]\)に属す。\((d-c…

『数研講座シリーズ 大学教養 微分積分』p44補題3-2の証明

\(k=0,1,\ldots,n\)について\[s_n(k)=1\cdot\left(1-\frac{0}{n}\right)\left(1-\frac{1}{n}\right)\left(1-\frac{2}{n}\right)\cdots\left(1-\frac{k-1}{n}\right)\leq1\]である。よって\[a_n=\frac{s_n(0)}{0!}+\frac{s_n(1)}{1!}+\frac{s_n(2)}{2!}+\cdot…

(1+(1/n))^nの単調増加性

\(\left(1+\frac{1}{n}\right)^n\)を\(n=1,2,3,\ldots\)について二項展開すると以下のようになる。 \(\left(1+\frac{1}{1}\right)^1=1+1\left(\frac{1}{1}\right)^1\) \(\left(1+\frac{1}{2}\right)^2=1+2\left(\frac{1}{2}\right)^1+1\left(\frac{1}{2}\rig…

『数研講座シリーズ 大学教養 微分積分』p28例題2の証明

※教科書に合わせ、\(0\)は自然数に含めないものとする。任意の\(\epsilon > 0\)をとる。\(\epsilon/2 > 0\)と\(a_n\to0\)により、\(a_{N_1}\)以降の任意の\(a_n\)について\(|a_n| 自然数\(N_1\)がとれる。数列\(a_n\)の、\(a_{N_1}\)よりも前の項の合計を\(S…

『キューネン数学基礎論講義』演習I.11.3(一部)

写像\(g:(0,1)\times(0,1)\to(0,1)\)を、小数表示を用いて\[g( \langle0.x_1x_2x_3\cdots,0.y_1y_2y_3\cdots\rangle)=0.x_1y_1x_2y_2x_3y_3\cdots\]により定義する。ただし有限小数に対しては2通りの表記が可能なので、実数ごとにいずれかの表記を定めておき…

相川・小林『ルベーグ積分 要点と演習』命題1.17

任意の\(a,b,c\in\mathbb{R}\)について\[a+b > c\Leftrightarrow a > c-b\]が成り立つが、実はこの同値関係は任意の\(a,b,c\in\overline{\mathbb{R}}\)についても成り立つ(証明略)。ただし、不等式が成り立たないケースには左辺・右辺の少なくとも一方が定…

相川・小林『ルベーグ積分 要点と演習』問1.11

集合族\(\mathscr{E}\subseteq\mathcal{P}(\overline{\mathbb{R}})\)に対して\[\{E\cup F\subseteq\mathcal{P}(\overline{\mathbb{R}})\mid E\in\mathscr{E}, F\subseteq\{+\infty,-\infty\}\}\]\[=\{X\subseteq\mathcal{P}(\overline{\mathbb{R}})\mid X\ba…