ω矛盾

矛盾とω矛盾、無矛盾とω無矛盾、初めて聞いたときはどちらが強い条件なのか分からなくてずいぶん苦労した。

体系が矛盾することを「何かヨロシクナイ事態」だと勝手に想定するならば、
「ω矛盾は軽傷」と憶えておくと便利だ。

そして「ガッツリ矛盾する/ω矛盾に踏みとどまる」といった言い回しを意識的に使うと頭に定着しやすいかもしれない。
ω無矛盾は「軽傷のω矛盾でさえ回避できている」ということだから、当然(重傷の)矛盾も回避できているわけだ。

「ω矛盾」を「準矛盾」とでも呼ぼうかと思ったが、それだと「ω無矛盾」が「無・準矛盾」になってしまうのでボツ。

ところで、ω矛盾の定義は書き方がいろいろあって紛らわしい。
「『すべての\(n\)に対し\(\vdash A(\bar{n})\)』かつ『\(\vdash \neg\forall x[A(x)]\)』」
体系外で固定された自然数nの各々に対して、どれを持ってきてもA(n)が証明可能であるからと言って、\(\forall x[A(x)]\)が証明可能ということにはならない、ということがポイント。だから\(\neg\forall x[A(x)]\)が同時に証明可能であったとしても、矛盾とまでは言えない。こういう事態こそがω矛盾。

\(\neg\forall\)は体系内で\(\exists\neg\)と書き換えることができる(「全員Yes」というわけではない⇔Noな奴がいる)ので、
「『すべての\(n\)に対し\(\vdash A(\bar{n})\)』かつ『\(\vdash \exists x[\neg A(x)]\)』」
と書かれることもある。

 

さらに、A(x)の否定であるB(x)を使って

「『すべての\(n\)に対し\(\vdash \neg B(\bar{n})\)』かつ『\(\vdash \exists x[B(x)]\)』」

あるいは

「『すべての\(n\)に対し\(\vdash \neg B(\bar{n})\)』かつ『\(\vdash \neg\forall x[\neg B(x)]\)』」

と書くこともできる。2×2=4通りあるわけだね。