「項が関数を表現する」ということ

n変数関数の表現可能性は、(n+1)変数の論理式によって定義する流儀のほかに、n変数の項によって定義する流儀もあることを知った。

以下、何変数関数でも同様であるので、1変数関数で考える。
従来から知っていたのは
「すべての自然数m,nに対して、以下の(α)(β)がともに成り立つ:
(α)\(f(m)=n\)のとき\(\vdash F(\overline{m},\overline{n})\)
(β)\(\vdash\exists!y[F(\overline{m},y)]\)」
ことを「2変数の論理式F(x,y)が関数f(x)を数値別に表現する」とするもの。

いっぽう、項による流儀では
「すべての自然数m,nに対して、以下が成り立つ:
\(f(m)=n\)のとき\(\vdash E(\overline{m})=\overline{n}\)」
ことを「1変数の項E(x)がf(x)を数値別に表現する」とする。

2つの流儀を知ったからには、前者のようなFがとれる関数のクラスと、後者のようなEがとれる関数のクラスが一致することを納得しなければならない。

後者のようなE(x)がとれるとき、F(x,y)として\(E(x)=y\)という論理式を考えれば前者の定義を満たす。

逆に、前者のようなF(x,y)がとれるとき、後者を満たすEをどのように作ればよいだろうか?
E(x)として\(\iota y[F(x,y)]\)というような書き方が許されるなら、\(\iota y[F(\overline{m},y)]=\overline{n}\)は\(\exists!y[F(\overline{m},y)]\wedge\forall y[F(\overline{m},y)\rightarrow y=\overline{n}]\)の略記であるので、これは確かに証明可能となる。
イオタ記号を使うことが許されなければ、E(x)は構成できないこともあるのだろうか?という点が未解決。
もしもそうであるなら、イオタ記号を許すか否かで、項による流儀で定義された「表現可能な関数」の範囲が変わってしまうことになる。