『よくわかる初等力学』章末演習11-5

初めに、\(a,b\)はそれぞれ\(r_0/(1-\epsilon^2),r_0/\sqrt{1-\epsilon^2}\)の略記であるのので、(11.42)を\(a,b\)を用いない形に書き直しておく。\[\frac{\cos\phi}{1+\epsilon\cos\phi}=\frac{\cos\alpha-\epsilon}{1-\epsilon^2}\tag{1}\]\[\frac{\sin\phi}{1+\epsilon\cos\phi}=\frac{\sin\alpha}{\sqrt{1-\epsilon^2}}\tag{2}\]都合のよいときだけ\(a,b\)を用いれば計算が少し楽になるが、天下りになってしまうので、以後\(a,b\)は用いないことにする。

さて目標は、\(\phi\)についての微分方程式\[\left(\frac{r_0}{1+\epsilon\cos\phi}\right)^2\dot{\phi}=\frac{L}{\mu}\tag{*}\]を\(\alpha\)で書き直すことである。そのためは\(\phi\)を直接\(\alpha\)で表すことができれば理想的だが、それは容易ではない。そこで、(1)(2)を\(\cos\phi,\sin\phi\)についての連立方程式と見て解くと\[\cos\phi=\frac{\cos\alpha-\epsilon}{1-\epsilon\cos\alpha}\tag{3}\]\[\sin\phi=\frac{\sqrt{1-\epsilon^2}\sin\alpha}{1-\epsilon\cos\alpha}\tag{4}\]となる。(*)の\(\cos\phi\)のところには(3)をそのまま代入すればよいが、まだ\(\dot{\phi}\)が残っている。そこで(4)の両辺を\(t\)で微分すると\[(\cos\phi)\dot{\phi}=\frac{\sqrt{1-\epsilon^2}(\cos\alpha-\epsilon)}{(1-\epsilon\cos\alpha)^2}\dot{\alpha}\]出現してしまった\(\cos\phi\)は(3)を用いて消去できて\[\dot{\phi}=\frac{\sqrt{1-\epsilon^2}}{1-\epsilon\cos\alpha}\dot{\alpha}\tag{5}\]
が得られる。いまは(4)を微分したが、(3)を微分してから(4)を用いても全く同じ結果になる。
(3),(5)を(*)に代入すると\[\frac{r_0^2}{(1-\epsilon^2)^{3/2}}(1-\epsilon\cos\alpha)\dot{\alpha}=\frac{L}{\mu}\]と、\(\phi\)から\(\alpha\)への書き換えが完了する。左辺の分数の部分は\(ab\)にほかならない。