ガウスの発散定理(平面版)

積分は進行方向を逆にすると符号も反転する。いっぽうで、ガウスの発散定理の平面版を考えると、積分の方向は気にしなくてよいように見える。この疑問を解決するためのメモ。
平面上のベクトル場\(\vec{A}(x,y)=(A_x(x,y),A_y(x,y))\)と、閉曲線\(C\)およびこれに囲まれた領域\(S\)を考える。
グリーンの定理\[\int_{C^+}(Pdx+Qdy)=\iint_S\left(\frac{\partial Q}{\partial x}-\frac{\partial P}{\partial y}\right)dxdy\]において、\(P=-A_y,Q=A_x\)と置けば\[\int_{C^+}(A_x\cdot dy+A_y\cdot(-dx))=\iint_S\left(\frac{\partial A_x}{\partial x}+\frac{\partial A_y}{\partial y}\right)dxdy\]を得る。ただし、\(C^+\)は閉曲線を「正の方向」に進むことを表す。
ベクトル\((dy,-dx)\)は、「閉曲線を正の方向に進んだときに外側を向く、線素の法線ベクトル」である。これを\(d\vec{L}^+\)と書けば、もはや線積分はどちら向きに進んでもよくなり、\[\int_{C}\vec{A}\cdot d\vec{L}^+=\iint_S(\mbox{div}\vec{A})dS\]という、ガウスの発散定理の平面版を得る。つまり、「内向きではなく外向きの法線ベクトルを選ぶ」という指定が、線積分の方向の指定を肩代わりしている。