赤攝也『集合論入門』p117~p118定理2の証明

【定理】\(a,b\)を二つの濃度とし、\(a > 0\)とする。このとき、\(|I|=a\)なる集合\(I\)を添え字の集合とする濃度系\(b_i\)(\(i\in I\))が、\(i\)のいかんにかかわらず\(b_i=b\)を満足するならば、その濃度系の和は\(ab\)に等しい:\[\sum_{i\in I}b_i=ab.\]

【証明】\(|B_i|=b_i\)を満たす素な集合系\(B_i\)(\(i\in I\))、および\(|B|=b\)を満たす集合\(B\)を任意にとる。濃度の和および積の定義から、一方で\( \sum_{i\in I}b_i=\left|\bigcup_{i\in I}B_i\right|\)であり、他方で\(ab=|I\times B|\)である。これらが等しいことを示すために、\(I\times B\)から\(\bigcup_{i\in I}B_i\)への全単射を構成しよう。
\(b_i=b\)(\(i\in I\))から、各\(i\in I\)に対して全単射\(\varphi_i:B\to B_i\)がとれる。これを用いて写像\[f:I\times B\to\bigcup_{i\in I}B_i;\ (\alpha,\beta)\mapsto\varphi_\alpha(\beta)\]を作る。
\(f\)が単射であること:\(\varphi_\alpha(\beta)=\varphi_{\alpha'}(\beta')\)(\(\alpha,\alpha'\in I,\ \beta,\beta'\in B\))と仮定する。この両辺は各々\(B_\alpha,\ B_{\alpha'}\)に属すが、\(B_i\)は素な集合系であるから\(\alpha=\alpha'\)である。すると\(\varphi_\alpha\)の単射性から\(\beta=\beta'\)となる。
\(f\)が全射であること:任意の\( \gamma\in\bigcup_{i\in I}B_i\)をとり、さらに\(\gamma\in B_\alpha\)なる\(\alpha\in I\)をとる。すると\(\varphi_\alpha:B\to B_\alpha\)の全射性から\(\varphi_\alpha(\beta)=\gamma\)なる\(\beta\in B\)が存在する。