順序数の非空クラスCに対し、∩Cはその最小元となる

ゲーデルと20世紀の論理学』第4巻p74、補題2.21(2)では、

【定理】順序数のみからなる任意の空でないクラス\(C\)に対し、\(\bigcap C\)がその最小元となる。

を示している。しかしその証明は私には理解できず、解読しようと思っていた矢先、出版後に修正されたPDFを発見した(
http://fuchino.ddo.jp/misc/goedel_et_logique_du_20e_siecle_4_I_2.pdf
)。ところがそこでは\(\bigcap C\)が\(C\)の最大下界であることを示したところで証明が終わっており、\(\bigcap C\in C\)が示されていない。

以下では、まず「順序数からなる任意の空でないクラス\(C\)は最小元を持つ」ことを示し、しかるのち「それは実は\(\bigcap C\)に等しい」ことを示す。

(証明)\(C\)に属す順序数\(\delta\)を任意にとって固定する。\(C\cap\delta=\varnothing\)のとき、\(\delta\)は\(C\)の最小元である。\(C\cap\delta\neq\varnothing\)のとき、順序数\(\delta\)の整列性から、その部分集合である\(C\cap\delta\)は最小元\(\beta\)を持つ。この\(\beta\)は、\(\gamma\in C\backslash\delta\)に対しても、\(\beta\in\delta\in\gamma\)あるいは\(\beta\in\delta=\gamma\)を成立させるので、\(C\)の最小元となる。

次に、\(\forall y\in C[x\in y]\)と\(x\in{\rm min}C\)が同値であることを示す。前者を仮定すると、\({\rm min}C\in C\)から\(x\in{\rm min}C\)である。逆に後者を仮定すると、任意の\(y\in C\)に対し\({\rm min}C=y\)または\({\rm min}C\in y\)であるから、いずれにせよ\(x\in y\)となる。

以上により、\(\bigcap C\)は集合をなし、\({\rm min}C\)と一致する。■

なお、\(\bigcap C\)が集合をなすことだけなら、\(\{x\in\delta|\forall y\in C[x\in y]\}\)と書いたうえで分出公理を用いれば示すことができる。