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平方数でない自然数の平方根による、有理数の切断

デデキントによる議論を見通し良く。

\(D\)を平方数でない自然数とし、\[A_1=\{x\in\mathbb{Q}\mid x\leq0\vee x^2 < D\},\\A_2=\mathbb{Q}\backslash A_1=\{x\in\mathbb{Q}\mid x > 0\wedge x^2\geq D\}\]とする。\(A_1\)は最大元を持たず、\(A_2\)は最小元を持たないことを示す。

\(x\in\mathbb{Q}\)に対し\(\bar{x}=x(x^2+3D)/(3x^2+D)\)と定めると、\(\bar{x}^2-D=(x^2-D)^3/(3x^2+D)\)である。\(x^2+3D > 0,3x^2+D > 0\)により、\(x\)と\(\bar{x}\)の正負は一致し、また「\(x^2\)と\(D\)の大小」と「\(\bar{x}^2\)と\(D\)の大小」も一致する。これと\(A_1,A_2\)の定義から、\(x,\bar{x}\)は同時に\(A_1\)に属すか、または同時に\(A_2\)に属す。

さらに\(x-\bar{x}=2x(x^2-D)/(3x^2+D)\)であるから、「\(x\)と\(\bar{x}\)の大小」は「\(x(x^2-D)\)の正負」に一致する。

任意の\(a_1\in A_1\)をとる。
・\(a_1\leq0\)のとき:\(1\in A_1\)から、\(a_1\)は\(A_1\)の最大元ではない。
・\(a_1 > 0\)のとき:\(a_1^2 < D\)となるから\(a_1(a_1^2-D) < 0\)、したがって\(a_1 < \bar{a_1}\in A_1\)となり、やはり\(a_1\)は\(A_1\)の最大元でない。
以上により、\(A_1\)は最大元を持たない。

次に任意の\(a_2\in A_2\)をとると、\(a_2^2\geq D\)が成り立つが、実際は等号が成立することはなく\(a_2^2 > D\)であるので[*1]、これと\(a_2 > 0\)から\(a_2(a_2^2-D) > 0\)、したがって\(a_2 > \bar{a_2}\in A_2\)となり、\(a_2\)は\(A_2\)の最小元でない。ゆえに\(A_2\)は最小元を持たない。