20181003セミナーのノート

(※内輪向けのメモ書きです。)
1. \(\Delta_0\)論理式の概念について
\(\Delta_0\)論理式自体は文字列としての論理式の「見た目」に依存する概念であって、互いに同値な論理式の一方が\(\Delta_0\)だが他方は\(\Delta_0\)でない、ということは珍しくありません。ただ絶対性を論じる際には同値であれば違いが吸収されるので、何か自分と同値な\(\Delta_0\)論理式を見つけさえすればよい、ということになると理解しています。したがって、この「違いが吸収される」という補題がどこかにあったのではないでしょうか(※まだKunen新版を入手できておらず未確認)。

2. ルベーグ不可測集合の構成の「第二段」までを書き直してみました。大きな変更点は
・\(\mathbb{R}\)の類別を考えるのではなく、初めから舞台を\( [0,1)\)に限定して類別を考えた。
・集合の要素を一斉にシフトした際に、右にはみ出した部分を左に戻す操作が煩雑なので、加減算を\(\rm modulo 1\)に変更して、演算の中に操作を組み込ませた。
の2点です。また\(\rm modulo\)に相性が良いように\( (0,1]\)を\( [0,1)\)に変えています。

集合\(I=[0,1)\)における\({\rm modulo} 1\)の加法・減法を\(\oplus,\ominus\)と書き*1、\(I\)上の2項関係\(\sim\)を\(x\ominus y\in\mathbb{Q}\)で定義する。\(x\ominus x=0,y\ominus x=\ominus(x\ominus y),x\ominus z=(x\ominus y)\oplus(y\ominus z)\)により、\(\sim\)は同値関係となる。選択公理により、各同値類から代表元をひとつずつ選んで集めた集合\(A\)を考えることができる。すると任意の\(x\in I\)の各々に対し\(x\ominus a\in\mathbb{Q}\)なる\(a\in A\)が一意に存在する。つまり、各\(x\)は\(a\in A\)および\(r\in I\cap\mathbb{Q}\)の組を用いて\(x=a\oplus r\)と一意に書かれる。そこで、このように書いたときの\(r\)の値によって\(I\)を類別することができる。すなわち、各\(r\in I\cap\mathbb{Q}\)に対し\(A_r=\{a\oplus r:a\in A\}\)と書けば、\(\{A_r:r\in I\cap\mathbb{Q}\}\)は\(I\)の類別となっている。

*1:例えば\(0.6\oplus 0.7=0.3,\ 0.1\ominus 0.2=0.9\)である。