「Rの有界閉集合はコンパクトである」ことを、閉集合の交叉性の流儀によるコンパクト性の定義を用いて証明する

\(\mathbb{R}\)の有界閉集合はコンパクトであることを、閉集合の交叉性の流儀によるコンパクト性の定義を用いて証明する。

(証明)\(A\)を\(\mathbb{R}\)の有界閉集合とする。部分空間\(A\)における閉集合の族\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)が有限交叉性を持つと仮定し、\(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}F_\lambda\neq\varnothing\)を導く。

\(A=\varnothing\)のときは仮定が偽となるので\(A\neq\varnothing\)としてよい。さらに\(\Lambda=\varnothing\)のときは\(\bigcap_{\lambda\in\Lambda}F_\lambda=A\neq\varnothing\)となるので、\(\Lambda\neq\varnothing\)としてよい。

\(A\)における閉集合は\(\mathbb{R}\)の閉集合と\(A\)との交叉で表されるので、やはり\(\mathbb{R}\)の有界閉集合である。したがってそれらの交叉も\(\mathbb{R}\)において有界閉であり、空でなければ最大元を持つ。

\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)のすべての有限交叉(仮定によりどれも非空である)について、各々の最大元をとって集めた集合を\(M\)とする。また任意の\(\mu\in\Lambda\)をとって固定し、\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)の有限交叉のうち\(F_\mu\)が参加しているものについて、各々の最大元をとって集めた集合を\(M_\mu\)とする。

\(\varnothing\neq M_\mu\subseteq M\subseteq A\)であり、\(A\)は下に有界だから、\(M_\mu,M\)はともに下に有界な非空集合である。したがって両者は下限を持ち、互いの包含関係から\(\inf M\leq\inf M_\mu\)である。いっぽう\(\{F_\lambda\}_{\lambda\in\Lambda}\)の任意の有限交叉\(G\)に対し、\(F_\mu\cap G\)は「\(F_\mu\)の参加する有限交叉」であるから\(\inf M_\mu\leq\max(F_\mu\cap G)\leq\max G\)、したがって\(\inf M_\mu\)は\(M\)の下界だから\(\inf M_\mu\leq\inf M\)である。以上により\(\inf M=\inf M_\mu\)である。

ところで\(M_\mu\)はその構成により\(\mathbb{R}\)の閉集合\(F_\mu\)に包含されるから\(\inf M_\mu\in M_\mu^a\subseteq F_\mu^a=F_\mu\)が成り立つ(ただし\( (\cdot)^a\)は\(\mathbb{R}\)における閉包を表す)。

結局、\(\inf M_\mu\)は各々\(F_\mu\)に属しつつも\(\mu\)に関わらず\(\inf M\)に等しいので、\(\inf M\in\bigcap_{\lambda\in\Lambda}F_\lambda\neq\varnothing\)を得る。■