デデキント『連続性と実数』

デデキント『連続性と実数』( http://books.google.co.jp/books?id=n-43AAAAMAAJ )の序文の末尾の一文の意味がよく理解できないのでメモ。

「このカントールの論文における公理は、私が連続性の本質として説いているものと、見かけ上の違いを除いては一致している」という趣旨のあとに、

Welchen Nutzen aber die, wenn auch nur begriffliche Unterscheidung von reellen Zahl=größen noch höherer Art gewähren wird, vermag ich gerade nach meiner Auffassung des in sich vollkommenen reellen Zahlgebietes noch nicht zu erkennen.

とあり、英訳( http://www.gutenberg.org/files/21016/21016-pdf.pdf )では

But what advantage will be gained by even a purely abstract definition of real numbers of a higher type, I am as yet unable to see, conceiving as I do of the domain of real numbers as complete in itself.

とあるのに対し、渕野訳(『数とは何かそして何であるべきか』ちくま学芸文庫)では

しかし,それ自身の中で完全であるところの実数の領域に対する私の理解からは,より高次の概念での相違に過ぎないものが何らかの影響を及ぼすとは思えないのである.

となっている。

・なぜ「しかし」で始まるのか。「カントールとの一致」との関係は?
・「実数領域がそれ自身完全」というのはどういう意味か。
デデキントは英訳のように「今のところ分からない」と考えているのか、あるいは渕野訳のように「何の影響もないだろう」と考えているのか。

あたりを解決したいところ。