R∪{-∞,+∞}上の全順序

$\mathbb{R}$上の通常の順序関係を$\leq$で表し、$\mathbb{R}\cup\{-\infty,+\infty\}$上の二項関係$x\preceq y$を\[x=-\infty\vee x\leq y\vee y=+\infty\]と定義する。この関係$\preceq$が全順序をなすことを示す。

推移性:$a\preceq b$および$b\preceq c$を仮定して$a\preceq c$を導く。そのためには、さらに$a\neq-\infty$および$c\neq+\infty$を仮定して$a\leq c$を導けばよい。$a\preceq b$と$a\neq-\infty$から「$a\leq b$または$b=+\infty$」、$b\preceq c$と$c\neq+\infty$から「$b=-\infty$または$b\leq c$」が従うが、これらが両立するのは$a\leq b$かつ$b\leq c$のときだけである。すると$\leq$の推移性から$a\leq c$である。

比較可能性(反射性を含意する):$a\not\preceq b$を仮定して$b\preceq a$を導く。そのためには、さらに$b\neq-\infty$および$a\neq+\infty$を仮定して$b\leq a$を導けばよい。これらの仮定により$a,b\in\mathbb{R}$かつ$a\not\leq b$であるから、$\leq$の比較可能性により$b\leq a$である。

反対称性:$a\preceq b$および$b\preceq a$を仮定すると、これらが両立するのは$a=b=\pm\infty$または「$a\leq b$かつ$b\leq a$」の場合のみである。前者ならば直ちに、後者ならば$\leq$の反対称性から、いずれにせよ$a=b$となる。■