有界閉集合からの連続全単射は逆写像も連続である

新井仁之『ルベーグ積分講義』p322、問題14.4の解答後半(連続性をいう箇所)を一般的に書き直したら、有名な定理に帰着された。以下において\(X\)を\([0,1]\)、\(Y\)を\([0,l]\)、\(l^{-1}\)を\(\tau\)、\(l^{-1}(s_n)\)を\(t_n\)と読み替えれば、教科書の証明に対応する。ただし背理法を解消するなど、その他の変更も加えている。

【定理】\(X,Y\)は\(\mathbb{R}\)の部分集合で、\(X\)は有界閉集合とする。\(l\)を\(X\)から\(Y\)への連続全単射とする。このとき、\(l^{-1}\)も連続である。

(証明)\(Y\)の点\(s_0\)と、\(s_0\)に収束する\(Y\)の点列\(s_n\)を任意にとり、これを\(l^{-1}\)でうつした\(X\)の点列\(l^{-1}(s_n)\)が\(l^{-1}(s_0)\)にいくらでも近い項を持っていることを示せばよい。
\(l^{-1}(s_n)\)は\(X\)の点列ゆえ有界なので、収束する部分列\(l^{-1}(s_{n*})\)をとることができ、さらに\(X\)が閉集合であることから、その収束先\(t\)は\(X\)に属す。この各項を\(l\)でうつした\(Y\)の点列\(l(l^{-1}(s_{n*}))=s_{n*}\)を考えると、これは\(l\)が連続写像であることから\(l(t)\)に収束する。同時に、この点列は\(s_n\)の部分列でもあるので\(s_0\)に収束する。以上により\(l(t)=s_0\)すなわち\(t=l^{-1}(s_0)\)を得るから、\(l^{-1}(s_n)\)は\(l^{-1}(s_0)\)に収束する部分列を持つ。■