クラトフスキ順序対

クラトフスキ順序対\(\langle x,y\rangle=\{\{x\},\{x,y\}\}\)について、\(\langle a,b\rangle=\langle c,d\rangle\)のとき\(a=c\)かつ\(b=d\)であることを証明するのにはさまざまな方法がある。しかし「あれとこれが等しいとき・等しくないとき」といった場合分けをして集合の要素の個数に着目するような方法が果たして許されるのか、不安になる人もいることだろう。ここでは、外延性公理に密着した議論のみで証明を進める方法を示す。

補題】\(\{p,q\}=\{p,r\}\)ならば\(q=r\)である。
(証明)左辺の要素である\(q\)は右辺にも属すはずだから、\(q\in\{p,r\}\)すなわち\(q=p\)または\(q=r\)である。後者ならばただちに示されたことになるが、前者の場合、もとの等式は\(\{q\}=\{q,r\}\)となり、右辺の要素\(r\)が左辺にも属すことから\(\{q\}\ni r\)、したがってやはり\(q=r\)である。■

【定理】\(\{\{a\},\{a,b\}\}=\{\{c\},\{c,d\}\}\)のとき\(a=c\)かつ\(b=d\)である。
(証明)左辺の要素\(\{a\}\)は右辺にも属すことから\(\{a\}\in\{\{c\},\{c,d\}\}\)すなわち\(\{a\}=\{c\}\)または\(\{a\}=\{c,d\}\)が成り立つ。いずれにせよ右辺の要素\(c\)は左辺に属すことから\(\{a\}\ni c\)ゆえ\(a=c\)である。するともとの等式は\(\{\{a\},\{a,b\}\}=\{\{a\},\{a,d\}\}\)となるが、これに補題を適用すると\(\{a,b\}=\{a,d\}\)、再度適用すると\(b=d\)を得る。■