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有理数の切断によって構成した実数は、確かに切断公理を満たす

【定義】「\(\mathbb{Q}\)の切断」とは、以下をすべて満たす\(B\)をいう。
・\(\varnothing\subsetneq B\subsetneq\mathbb{Q}\)
・\(B\)は最大元を持たない
・\(\forall x\in B\forall y\in B^c[x < y]\)

有理数\(r\)に対し、「\(r\)未満の有理数全体」なる集合を\(\mathbb{Q}_{ < r}\)で表す。これは\(\mathbb{Q}\)の切断になっている。

\(\mathbb{Q}\)の切断全体が成す集合\(\mathcal{C}(\mathbb{Q})\)は、\(\subsetneq\)に関して全順序集合をなしている(証明略)。

【定義】「\(\mathcal{C}(\mathbb{Q})\)の切断」とは、以下をすべて満たす\(\mathcal{A}\)をいう。ただし、\(\mathcal{A}^c\)は\(\mathcal{C}(\mathbb{Q})\backslash\mathcal{A}\)を表す。
・\(\varnothing\subsetneq\mathcal{A}\subsetneq\mathcal{C}(\mathbb{Q})\)
・\(\mathcal{A}\)は\(\subsetneq\)に関する最大元を持たない
・\(\forall X\in\mathcal{A}\forall Y\in \mathcal{A}^c[X\subsetneq Y]\)

【定理】\(\mathcal{C}(\mathbb{Q})\)の任意の切断\(\mathcal{A}\)について、\(\mathcal{A}^c\)は最小元を持つ。
(証明)\(\mathbb{Q}_{ < r}\in\mathcal{A}\)なる有理数\(r\)の集合を\(B\)とすると、\(B\)は\(\mathbb{Q}\)の切断になっている(証明略)。
任意の\(X\in\mathcal{A}\)をとり、さらに任意の有理数\(x\in X\)をとると、\(\mathbb{Q}_{ < x}\subseteq X\)より\(\mathbb{Q}_{ < x}\in\mathcal{A}\)ゆえ\(x\in B\)である。これが任意の\(x\in X\)で成り立つことから\(X\subseteq B\)、したがって\(B\)は\(\mathcal{A}\)の上界である。次に任意の\(Y\in\mathcal{A}^c\)と任意の\(y\in Y^c\)をとれば、\(Y\subseteq\mathbb{Q}_{ < y}\)より\(\mathbb{Q}_{ < y}\in\mathcal{A}^c\)ゆえ\(y\in B^c\)、これが任意の\(y\in Y^c\)で成り立つことから\(Y^c\subseteq B^c\)すなわち\(B\subseteq Y\)、したがって\(B\)は\(\mathcal{A}^c\)の下界でもある。\(\mathcal{A}\)は最大元を持たないから、\(B\)は\(\mathcal{A}^c\)の最小元となる。■