『キューネン数学基礎論講義』演習I.11.3(一部)

写像\(g:(0,1)\times(0,1)\to(0,1)\)を、小数表示を用いて\[g( \langle0.x_1x_2x_3\cdots,0.y_1y_2y_3\cdots\rangle)=0.x_1y_1x_2y_2x_3y_3\cdots\]により定義する。ただし有限小数に対しては2通りの表記が可能なので、実数ごとにいずれかの表記を定めておき、定義域の要素を表すことにする。\(g\)が単射であることを示すため、\(g(z)=g(z')\)なる任意の\(z,z'\in(0,1)\times(0,1)\)をとり、\(z=z'\)を導く。\(z,z'\)の小数表示を各々\(\langle0.x_1x_2x_3\cdots,0.y_1y_2y_3\cdots\rangle,\langle0.x'_1x'_2x'_3\cdots,0.y'_1y'_2y'_3\cdots\rangle\)とおくと、\(g(z)=g(z')\)により\[0.x_1y_1x_2y_2x_3y_3\cdots=0.x'_1y'_1x'_2y'_2x'_3y'_3\cdots\]が成り立つ。これが例えば\(0.12999\cdots=0.13000\cdots\)という形で成り立っていたとすれば、もとの\(z,z'\)は\(\langle0.1999\cdots,0.2999\cdots\rangle,\langle0.1000\cdots,0.3000\cdots\rangle\)のはずだから、同じ実数\(0.3\)を異なる表記で書いていたことになり、約束に反する。このことは一般に言えるため、各\(x_i=x'_i,y_i=y'_i\)がすべて成り立つから\(z=z'\)である。