20201014『数理論理学』輪講のノート

●反対称律は分かりにくいですが、対偶をとって理解する方法もあります。

\(x\neq y\)ならば「『\(_xR_y\)かつ\(_yR_x\)』でない」
あるいは
\(x\neq y\)ならば「『\(_xR_y\)でない』または『\(_yR_x\)でない』」
つまり
異なる要素同士が双方向に関係を結ぶことを禁止する
というのが反対称律の要請です。私は「両想い禁止」などと説明することもありますが、これにならえば(同値関係などにおける)対称律は「片想い禁止」に相当します。
冒頭の「\(x\neq y\)ならば」は重要で、反対称律は\(x=y\)の場合に関しては何も制約を加えていないという点に注意が必要です。いっぽう、反射律は
\(x=y\)ならば\(_xR_y\)である
と書くこともできます。反対称律と反射律を並べて眺めると、「\(x\neq y\)のとき」「\(x=y\)のとき」のそれぞれに対して何らかの制約を加えている、と見ることができます。

●半順序関係の例として自然数上の整除関係「\(x\)は\(y\)を割り切る」が挙がりましたが、もうひとつ有名な例として「集合の包含関係(\(x\subseteq y\))」があります。これが反射律・反対称律・推移律を満たすことを確かめてみてください。

●通常の数の大小関係(\(x\leq y\))が反射律・反対称律・推移律を満たすことは分かりましたが、では\(x < y\)はどれを満たすでしょうか。