写像が全射との合成で表されるための条件

斎藤毅『線形代数の世界』「商空間」の章、最初の補題

\(X,Y,Z\)は集合、\(p:X\to Y\)は全射とする。写像\(f:X\to Z\)について、次は同値である。
(1)\(f=g\circ p\)なる写像\(g:Y\to Z\)が存在する。
(2)\(p(x_1)=p(x_2)\)を満たす任意の\(x_1, x_2\in X\)について\(f(x_1)=f(x_2)\)が成り立つ。

(証明)(1)→(2):(1)にかなう写像\(g\)をひとつとる。\(p(x_1)=p(x_2)\)なる任意の\(x_1,x_2\in X\)に対し、\(f(x_1)=g(p(x_1))=g(p(x_2))=f(x_2)\)となる。
(2)→(1):\(p\)が全射であることから、任意の\(y\in Y\)の各々に対し、そのつど\(p(x)=y\)なる\(x\in X\)をとることができる。このとき\(f(x)\)は(2)から\(x\)のとり方に関わらず\(y\)ごとに一意に定まる。各\(y\in Y\)に対し、この\(f(x)\in Z\)を対応させる写像を(1)の\(g\)として選べばよい。■