20201028『数理論理学』輪講のノート

●練習問題3.45の2つ目の恒真式\[\varphi\rightarrow\psi\leftrightarrow\neg\varphi\vee\psi\]において、\(\varphi\)として\(P\wedge\neg Q\)を、\(\psi\)として\(R\)を選ぶと、練習問題3.42の2つの論理式を\(\leftrightarrow\)で繋いだものに一致します。一般に、(ア)「\(\alpha\leftrightarrow\beta\)が恒真式であること」と(イ)「\(\alpha\)と\(\beta\)の真偽値が任意の解釈で等しいこと」とは同値です。これは\(\leftrightarrow\)の定め方を考えれば当然ですが、一応(ア)と(イ)は別レベルの言明であること、特に\(\leftrightarrow\)はあくまで論理式の「部品」のひとつであることに注意してください。

●\(\varphi\rightarrow\psi\)はもともと「\(\varphi\)が真で\(\psi\)が偽のとき」だけ偽になり、それ以外は真となるように定められています。つまり\(\varphi\)が偽(\(\neg\varphi\)が真)のときは\(\psi\)の真偽に関わらず真だし、\(\psi\)が真のときは\(\varphi\)の真偽に関わらずやはり真です。このことを考えると\(\varphi\rightarrow\psi\)と\(\neg\varphi\vee\psi\)の真偽が一致することが納得できます。

●練習問題3.47は、例えば3項なら\[(\alpha\vee\beta)\vee\gamma,\ \alpha\vee(\beta\vee\gamma)\]の2通り、4項なら\[( (\alpha\vee\beta)\vee\gamma)\vee\delta,\ ( (\alpha\vee(\beta\vee\gamma))\vee\delta,\ (\alpha\vee\beta)\vee(\gamma\vee\delta),\]\[\alpha\vee( (\beta\vee\gamma)\vee\delta),\ \alpha\vee(\beta\vee(\gamma\vee\delta))\]の5通り、というように括弧の付け方を数えたとき、\(n\)項なら何通りあるか、という問題です。『数学ガール』の第1巻でも扱われており、当該議論に関してはWeb版もあります。
https://www.hyuki.com/girl/convolution.pdf

●定義3.29~定義3.37にはいずれも「任意の解釈\(I\)に対して」とついており、この教科書で採用されている真理関数に関する限り、解釈\(I\)によらないことが明らかになっています。しかし、「もっと別の真理関数を採用するとしても、解釈\(I\)によらないように定義する」という一般的な話は結局出てきていません。これは教科書の不備と言ってよいと思います。後回しにした練習問題3.27および3.28は、そのことを使って初めて証明できます。